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Q: 次はパーソナルなことを……
ピアノを始めたきっかけ/経緯はどんな感じだったか、記憶しているかぎりおしえてください。

K: 4歳の時に家のすぐ近所の市場の2階にあったピアノ教室に通いはじめました。自分では覚えていませんが母によると私が自分で「ピアノを習いたい」と言ったそうです。生まれた時には既に家にアップライトピアノがありました。最初からあったのでピアノがあることが普通で、ピアノに対して特に何も思わなかったと思います。小さい時の誕生日会のビデオを見ると、親がピアノを弾いている私の姿をビデオに撮りたいという理由で無理矢理弾かされていました。私は恥ずかしがって弾きたくなさそうでした。歌も歌わされていました(笑)。

Q: 加奈さんはどんな少女だったのでしょう?
K: 家の外では人見知りで内気だったと思います。まだ小さい子供の時から大人しい、大人びていると言われていました。幼稚園ではおそらく誰とも喋らず友達も一人も居なかったように思います。幼稚園の廊下から窓の外を見て物思いに耽っていたのを覚えています。寂しくも何ともなかったです。家では、はしゃいでは怒られていました。楽しんでいたら毎度怒られてとても辛く悲しかったです。ピアノの練習はレッスンに行く日の10~30分くらいしかしなかったと思います。めんどくさくて嫌々です。歌うのは好きでした。一人で歌っていた時間以外で楽しかった事は思い出せません。ピアノを弾いている記憶は全くないです。ピアノは好きじゃなかったです。

Q: 現在の加奈さんが作曲をするとき、主にどんなことが動機となりますか?
あるいは日々、日課のようにつくることもありますか?

K: ここ最近は、日常から離れて宙に浮いたようになっている時に、その感覚を忘れないために即興的に曲や詩としてメモをする感じだと思います。曲や詩ではなく、文章に書く日の方が多いです。それは後に歌詞として使用することもあります。写真を撮りに一人旅に出る時期もありました。一人の静かな日々の時間を、ただ落とすように記録していきます。もしくはたっぷり暇な時間がある時に気まぐれに作ってみます。だけど作曲は得意でもないし、あまりやる気がありません。作曲より、自分が表現媒体にどう溶け込んで、どんな現象が起こるかのほうが興味があります。でも他の人から見たら、それが作曲なのかもしれませんね。自分では作曲している自覚は全くないです。

Q: ご自宅で植物を栽培していますね。植物との関わり方と音楽に共通点はありますか?
K: 共通点を考えた事は特にないですが、音楽も植物も一生自分の側に在るものというか、なかったら生きる気力を失いそうです。生きる力を与えて貰っているんだと思います。精神的に不安定で外に出るのも恐かった時期は、花屋で買った花を持ってるだけでなんだか安心しました。本当は切り花はあまり好きじゃなくて土に生えているのが良いです。そして植物と音楽から生き方も学びました。植物はとても賢いです。優しく強くもあります。植物は私の先生でもあり子供でもあるような感じです。特に種から育てるものは我が子のように単純に可愛いというのもあります。同じ地球に住んでいる仲間です。そして、自分がどんな状態の時でも私を肯定も否定もせず静かにただ一緒に居てくれます。水やりを忘れたら枯れます。自らの命を絶って私が水やりも出来ないくらい弱っているのを教えてくれます。音楽もですね。自分の状態を把握する為の鏡のようなものかもしれません。

   
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