<< 2013/04/26 23:50 〈テ〉>>

こんにちは。テノリエリのerieです。
この春、京都に行ってきました。
ちょうど桜の頃でしたが週末ではなかったので人もそんなに多くなく、満開の桜を贅沢に満喫してきましたよ。

京都は、気になる観光地がどこもそれなりに歩かなくてはならない距離に点在しているので、移動にはレンタルの電動自転車がとても便利でした。

たとえば、伏見稲荷は宿から自転車で20分。
テレビで見たことのある真っ赤な鳥居がずらーっと並んでいる、あのお稲荷さんです。
今回はそこを目指してみました。

入り口にはお狐様がいて、そこからすぐのところに大きな大きな鳥居がありました。
真っ赤で大きな鳥居。
それをくぐって進むと、いよいよ目指す千本鳥居です。

入り口で外国人観光客が写真を撮っています。もちろん私もカメラをかまえます。人が次々と真っ赤な2本のトンネルをくぐっていきました。
どちらが行きで、どちらが帰り、と決まっているわけではないようです。ほとんど隙間なく鳥居が並んでいるので、のぞいてみると果てしなく朱色の世界が続いています。
中がカーブしているせいか、抜けた先は見通せません。どこまで続いているのかもわかりません。鳥の声が聞こえてきます。それはどこまでも続いているのです。
少しだけ、こわいような気持ちになりました。

片方のトンネルから先に進んで、もう片方のトンネルから戻ってくる間に、知らない国の人たちが、知らない言葉ですれ違っていきます。
きっと、海を越えたり山を越えたり、あるいは私の知らないものを越えて、観光に訪れた人たちなのだと思います。

気づけば真っ赤なトンネルを過ぎて、見上げると空が広がっていました。
私は自転車を停めてあった場所に戻ってきていたのでした。


宿に戻ろうと電動自転車に乗ってペダルを漕ぎ始めました。漕いでいる間も、真っ赤なトンネルと鳥の声が自分の後ろに続いているような気がしていました。
自転車を漕ぎながら浴びている風が、そのまま真っ赤なトンネルに流れていきます。
道の脇のお土産屋さんに並ぶお面も、すずめの焼き鳥も、色とりどりの傘も、観光客を乗せたタクシーも、道案内をしてくれた交番も、駅前のコインロッカーも、新幹線のホームも、みんな流れていきます。
しっぽはどこまでも長く伸びて、私はそのまま東京の現実まで戻ってきました。

ときどき今でもまだ、振り返るとそこに、真っ赤なしっぽのトンネルが続いているのが見えたりします。
私の知らない世界の人たちが何人も通りすぎたり、記念写真を撮ったりしています。風が吹くとそこを抜けて、桜の花びらがちらりと飛んできたりしているのです。

さて。
今度はまぶしい太陽の下で緑のトンネルを抜けて、海の方に出かけてみたいな、と思いをめぐらせているところです。そのときにはまたお手紙書きますね。
ごきげんよう!