<< 2013/03/31 21:48 〈杉〉>>
こんにちは。
いかがお過ごしでしょうか。
お昼時のね、ちょっと眠たいような時間にバスにゆられるのが好きです。
東京は東西にたくさんの鉄道が走っていますが、南北の移動となるとバスの出番なのです。
だいたい午前11時頃に近くのバス停から乗り込みます。
最初は空いていて、のんびり座っているのですが、あっという間に混み合って来ます。しかもご老人ばかり。ご老人のラッシュアワーなのです。
なので、ゆったり椅子に座ってという訳にはいかなくなるんですけどね。
先日ちょっと変わったおばあさんに遭遇しました。
付き添いの方と思われるご婦人に腕をしっかりと支えられ、ゆっくりゆっくり乗り込んで来ました。
「お気をつけて」
「はいはい、どうもありがとうございます」
ご婦人はおばあさんを優先席に座らせ、自分は後ろの方へ。
と、そのときです、おばあさんが、
「あ~あ、頼んでもいないのに、赤の他人にむりやり付き添われて、これじゃわたしが身内に大切にされてないと思われるじゃないか、やめてほしいよ、ほんとにみっともないったらありゃしない」
とおっしゃったのです。
バスの乗客一同、そのご婦人も含めて、全員ぽかーんとなりました。
どうやらその方は好意で介護されていたよう。
そして今度はご婦人の方へまったく同じ口調で、
「どうもどうもご親切に、わたしももう少し元気ならねえ」
どうやら思ったことがそのまま口に出てしまうらしいのです。
その後、今度は車いすの方が、やはり付き添いの人と一緒に乗って来ました。
運転手さんはスロープを用意したり、椅子を畳んでスペースを作ったりと大忙し。
と、そのとき、またもやおばあさんが、
「ああ、たいへんですねえ、ご苦労様です、運転手さんありがとうございます。わたしゃこんな体でも人様にご迷惑にならないよう、車いすには乗らず、こうして頑張っていますよ。車いすはじゃまになりますからね」
「……」
「ああ、お手伝いですか、たいへんですねえ。ほんとうにね、頭がさがります。運賃は乗る前に用意してくださいよ。こんなに時間がかかったんじゃみんな迷惑しています。何の為の付き添いですか」
もう、容赦ありません。
車いすの付き添いの方は、ちょっと笑いをこらえているような様子でしたので、ほっとしました。
結局その後おばあさんは、バスの乗客の事はすっかり忘れたように、(多分)お家のお嫁さんに対しての、心からの感謝の言葉やら、お腹の底からの恨み節やらを、まったく同じ口調で、交互に語られていました。
バスは終点、JRの大きな駅に着きました。
ご老人たちはゆっくりゆっくりとバスを降りていきます。
途中、病院前のバス停から乗り込んで来た男女のご年配、てっきりご夫婦かと思っていましたら、
「今日はどうも、今度お茶でもご一緒しませんか」
「ええと、お断りしますわ」
みなさんお元気でなにより。
また手紙書きますね。